ナルコレプシーです、お見知りおきを

世界で日本人が一番多い過眠症、ナルコレプシーに関係あること、ないこと。

ナルコレプシーの「現実感の強い夢」とは ~part2~

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私はナルコレプシーという過眠を発症しているので、現実感の強い夢や悪夢をよく見ます。何故あんなにも現実のように感じて、(夢を見ている間は) 現実だと信じて疑わないのか、疑問を感じています。

以前書いた記事は、よく見る現実的な夢が生まれる理由について経験からの主観で書きました。その後月日が経ち、書籍やオンライン上から得たいくつかの情報をもとに、今自分が理解していることをまとめます。

この記事についての続編を書きます ↓↓

 

ナルコレプシーの主な症状について⇒ *1

 

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目次

 


1日の中で変わる脳の状態

ヒトを始めとする哺乳類の脳は

覚醒、レム睡眠、ノンレム睡眠 のいずれかの状態になる。いずれも脳内では異なる活動をしています。

 

さらに、ノンレム睡眠は、眠りの深さによって、4つの段階に分類されています。

ノンレム睡眠

ノンレム睡眠は、浅い睡眠から深い睡眠まで4段階に分けられます。


ステージ1=入眠期 ごく浅い睡眠

ステージ2=軽睡眠期 浅い睡眠

ステージ3=中程度睡眠期 徐波睡眠(※)=中程度の睡眠/リラックス状態

ステージ4=深睡眠期 徐波睡眠(※)=深い睡眠/リラックス状態

引用:睡眠の基礎>睡眠の種類 | 睡眠ラボ

 


現実感の強い夢と感じさせるもの

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鮮明な夢を見る理由

ナルコレプシーの特徴として、寝入りばなにすぐにレム睡眠に入ってしまうという異常がみられることがある。(中略)通常のレム睡眠の場合は、大脳皮質、とくに前頭前野外背側部が(中略)活動が低下しているため、夢は記憶に残らないし、認知能力が低下しているため、おぼろげな印象しかない。しかし、(中略)神経細胞が活動を止めても、(中略)影響はすぐに完全になくなるわけではない。だから、覚醒状態から突然にレム睡眠のような状態に入ってしまうと、前頭前野が活動している状態で夢を見ることになり、非常に鮮明な夢を見るのだ。

引用:『睡眠の科学/ 櫻井 武』講談社

睡眠が健常な人は、入眠後、90分程経ってからレム睡眠に移行します。また、レム睡眠で夢を見ても思考を司る機能が一時低下している上、時間も経っているので、レム睡眠中に夢を見ても記憶に残らないのです。

しかし、突然眠ってしまうナルコレプシー勢は、大脳皮質が活動している状態で、レム睡眠に入るので非常に鮮明な夢であり、記憶にも残ります。幻覚のように感じるのです。そして時には金縛りを伴うこともあります。


夢を夢だと気づけない理由

レム睡眠中は「おかしいぞ」と思うがことができない。

 

レム睡眠時に見る夢が「恐い」「楽しい」などさまざまな感情をともなるものが多いことは、扁桃体の活動と関係していると思われる。(中略) 

さらにレム睡眠のときに見る夢は(中略)奇妙な内容のものが多いが、夢を見ているときに奇妙だと気がつかないのは、前頭葉の前頭前野外背側部という部分の機能が低下しているためである。この部分が十分に機能しないと、見ている現象に関して、反省するとか、「おかしいぞ」と疑問に思うことができなくなるのだ。)

 

前頭葉の前頭前野外背側部の機能が低下していると、思考することができなくなります。反省や、「おかしい」と思うこともできません。

夢は情動性に富んだ視覚イメージになる。(中略)それは決して現実ではなく、脳がつくりあげた幻覚といっていい。しかし夢を見ている当人は、前頭前野外背側部の活動が低下しているため、それが現実だと信じて疑わないのだ。夢の中では、思考も、過去を思い出すこともできない。ただ体験と感情があるだけだ。「メタ認知」という概念がある。これはヒトが思考や行動、認知をしているときに、それを客観的に「いま自分は思考をしている」と認知することであり、それをおこなう能力をメタ認知能力と呼ぶ。つまり「認知していること」を認知でいる能力である。

引用(上記2つ):『睡眠の科学/ 櫻井 武』講談社

レム睡眠中は、思考も、過去を思い出すこともできない。ただ体験と感情があるだけだ

レム睡眠中には、思考する機能が一時的に低下しているため、覚醒時には容易にわかることが判断できなくなり、現実だと信じて疑わなくなるのです。


夢のような「夢」について

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興味深い内容

 

 まず鮮明で込み入ったストーリー性がある夢がある。夢の中での経過時間も長く、目覚めたときにその内容をかなり詳細に語ることができる、いわゆる我々が夢と聞いてイメージする夢らしい夢である。悪夢やセクシャルな内容の夢など強烈な情動(感情)を伴う場合もある。このような鮮明な夢はレム睡眠時に多い。

 ただし夢にはもう少し曖昧なものも多い。ぼんやりとした考え、イメージ、音、声などの感覚体験を中心としたごく断片的な夢である。景色が見えたり、人と話したりするなど、何となくストーリーがあるものの全体として短めで脈絡がない。このような淡く短い夢はノンレム睡眠時に多い。

 引用:第16回 「夢はレム睡眠のときに見る」のウソ | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

 

!! 「夢はノンレム睡眠中も見る」とは知りませんでした! ぼんやりとした夢のような「夢」はこの辺りも含まれているのかもしれませんね。

つまり、「ノンレム睡眠 → 覚醒」 のときがおぼろげな夢を見たと感じる説

ポリグラフで確認してみましょう

ナルコレプシー10歳少女のポリグラフ

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画像掲載元:ナルコレプシーの検査と診断|メディカルノート

赤丸で囲んだところが、「覚醒反応」があった箇所です。

覚醒反応 (突然眠りが浅くなる現象) 。また、就寝中に完全に覚醒することを「中途覚醒」といいます。

【「ノンレム睡眠 → 覚醒 」のときがおぼろげな夢を見たと感じる】という仮説に合いそうな脳波の動き、複数回ありますね。

そして【レム睡眠 → 覚醒反応】の動きのときが鮮明な夢と感じるのでしょうか。

これらのことから、ナルコレプシー発症してから「夢をすごく見る」と感じるのは、この辺りも関係するかもしれません。就寝時一度も中途覚醒していなかったとしても、複数個の夢を見たと記憶していることが幾度もあるのです。

それにしても上画像の覚醒反応 回数は、なかなかですね。素人が見てもちゃんんと眠れている気がしませんわ。残念なことに、自分の終夜ポリグラフ結果も見直してみましたら、波形の動きは似たようなものでした。そうか……

それから、上記画像に書いてある「睡眠麻痺、入眠時幻覚」は、入眠直後からレム睡眠に移行することによって生じるものです。ナルコレプシー勢の特徴的な波形の一つです。

睡眠が健常な方の終夜ポリグラフ (参考用)

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画像掲載元:ナルコレプシーの検査と診断|メディカルノート

ノンレム・レム睡眠のサイクルがいいリズムで生じています。これが睡眠の理想形なのでしょう。こうして改めて見比べると、ナルコレプシーのレム睡眠のタイミングや、覚醒反応の回数など、異常性がよく伝わりますね。

比較

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※経過時間をだいたい合わせて並べています

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まとめ

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・レム睡眠、ノンレム睡眠によって脳の活動領域が違う

・レム睡眠で見る夢 : 鮮明で情動を伴う。ストーリー性があるものが多い。

・ノンレム睡眠で見る夢 : おぼろげで短く、脈絡がない。

・入眠時、非常に鮮明な夢を見る理由:前頭前野が活動している状態でレム睡眠に入り、夢を見るため。

・夢の最中に「おかしいぞ」と思えない理由:レム睡眠中は前頭前野の活動が低下しているので、思考できないため。ただ体験と感情がそこにあるのみ。

⇒ 鮮明は鮮明でも、視覚だけがそうである場合と、五感がフル活用のときの違いは活性化レベルの違いということでしょうか。また別の話でしょうか。まだまだ疑問は尽きません。

・ナルコレプシーの人は睡眠中の覚醒反応の回数が異常

・ナルコレプシーだと。就寝中の「覚醒反応」の回数が異常のため、夢を覚えている回数が異常に多いのではないか説。(筆者推測 → 真実かもしれないし、見当違いかもしれないし


おわりに

これまで主観的に考えるしかしていなかったものが、根拠がじょじょに紐解かれていくのは嬉しいことです。しかし、考えれば考える程に、新しい疑問や、別の興味が浮かんできて、永遠に終わらない気分にもなります。これからも知的好奇心を満たすよう努めたいと思います。

参考図書はとてもステキなものでした。睡眠に関することはもちろんですが、ナルコレプシーの原因や覚醒物質についてなど、盛り沢山の内容です。睡眠について興味がある人にはオススメしたい一冊です。

 


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*1:

・日中の極度の眠気 → 意識が朦朧として、吐きそうなくらい。数日徹夜くらい

・情動脱力発作 → 喜怒哀楽の感情変化によって、身体(一部もしくは全身) の力が一時的に抜ける

・入眠時幻覚・睡眠麻痺 → 寝入った直後に幻覚のように感じる夢・俗に言う金縛り

・悪夢 → 現実感の強い、鮮明な夢。悪夢の他に、日常的な鮮明な夢も見る

※上記の症状が全て陽性の人もいれば、一部のみの人も存在する。